セイラムは夢
神の子らはみな踊る あんまり愛しすぎていた。幸福だったが、これ以上があってはならないと、シルバーはじゅうぶんすぎるほどに理解していた。 夜天光ばかりがしんしんとものどもを薄青くする真夜中、シルバーの細腰にしがみつくような形で、彼の腕が覆いか…
「行かなきゃ……おとうさんが!」 スプリングの反発で細い身体が浮き上がり、おぼつかない足では体重を受け止め切れずに彼はよろめく。その肩を胸に受け止めたのはクリスだった。「あなたが行ってどうなるの。一つの国が負けるっていうのは、もう打つ手が無い…
ベッドシーツの上、瞼に陰茎を被せられながら唇を歪めてピースサインをするシルバー、バスルームのタイルの上に這いつくばって肉付きの薄い尻を見せるシルバー、シャワールームのガラスに背をついて開脚し精液まみれの恥部を露わにするシルバー、キッチンの…
七日間の謹慎処分も最終日。日曜日の午前、生徒も教諭も社会奉仕に駆り出されるか修道会の日曜ミサに駆り出されるかしていたので、校舎内は人もまばら、その隙を狙って今度はシルバーがゴールドの部屋を訪ねてきた。さすがの彼もチェス盤を持ってくることは…
クリスの冷えた指が傷口に触れて、霧吹きで消毒液を吹きかけたのにゴールドは唸る。ベッドに寝かされた格好のまま彼女の手をよけて身を捩る。動かないで、叱咤されて仕方なくじっとしていると、彼女は黙々と治療を済ませ、最後に顔の汚れを白いレースのハン…
もうシルバーとは関わるまいと思い、実際そのように立ち回っているはずなのだが、ゴールドにはどうしても彼に振り回される宿命があるようだった。転入一ヶ月めにして彼は疲れ果てていた。ウォルナットの長テーブルに突っ伏してうめく。並べておいた鉛筆の一…
七時ごろには聖堂を出たというのに、彼がパウロ館の自室に戻るころには十一時を過ぎていた。彼は果敢にもラビリントに再挑戦し、四時間あまりかかって勝利を収めたというわけだ。だが、新品のジャケットにはばらの葉がまとわりつき、シャツに至ってはとげに…
あんまり愛しすぎていた。幸福だったが、これ以上があってはならないと、シルバーはじゅうぶんすぎるほどに理解していた。 夜天光ばかりがしんしんとものどもを薄青くする真夜中、シルバーの細腰にしがみつくような形で、彼の腕が覆いかかっている。彼の鼻先…