奥ゆかしく寡黙な割れ目に触れ、指でそっと左右に押し開くと、やはり、薄桃色の肉が忙しなく呼吸しているのだった。日照りの粘膜はしっとりと濡れ、まるでそれ自体が感じやすい生き物であるかのように、うねり、震えて、僕の指や、あるいはまた別のものが触れるのを今か今かと待ち構えている。
 そのとき、僕の魂をにわかに覆ったのは、欲情や期待といった、ありふれた感情ではなかった。失望、落胆、幻滅などという、身の程知らずで礼儀を欠いた感情でもない。裸の胸に、光速にもにた激情の矢がずっと刺さってきて、僕は、そう、安心したのだ。彼女がどこにでもいる普通の女だということに。愛を囁き、手を握ってやり、裸に剥いて感じやすい部分をいやらしく撫でてやれば、股が濡れてくるような生き物だっていうことに。